忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

045 不慮の事故

俊×蘭世 中学時代 蘭世ちゃんの告白シーンです 

100のお題より  お題提供:ドリーマーに100のお題 桜野雪花菜サマ







どっちかというと、いい奴っていうより悪い奴じゃないって…

そんな印象だった。



本来俺は、真正面から人を素直に信用しないタイプだ。

他人がいい奴だろうと悪い奴だろうと俺には一切関係なくて、

あえて知ろうとも思わないし深入りもしない。

だから「こいついい奴」だなんてそうそう簡単には思わない。

思わないんじゃなくて、そもそも思考回路が「いい奴」ってところに

すぐには進んでいかない。

ひねくれてる俺が気持ちをストレートに表せないのが原因だっていうのは

よくわかってる。

だから俺にとっての「悪い奴じゃない」っていう表現は

決してマイナスから引き出されるものじゃなくて

かなり好意的な表現の仕方だった。




なぜ、そんなことを口走ってしまったのかわからない。

静かに佇む沈黙に妙に耐えられなかったのも事実だ。

ただ、なぜその沈黙が、なぜそんなに怖かったのか・・・。

そんな沈黙なんて、冗談の一つでも言ってしまえば、

さらっと解消できるほどのものだったはずなのに。




しかし、意識とは別に意表をついて俺の口から出た言葉は、





―――― 悪い奴じゃねえぜ、考えてやんな ――――――





江藤にしてみればそれはきっと大きなお世話、

人と人のことに深入りしないはずの俺が、なぜそんなことを・・・。



筒井と話して、だからといって全てを理解しあったわけじゃなかったが、

舞台で歌う筒井を見て、なんだか筒井の気持ちがスッと心に入り込んできた。




一人の女性を真剣に思う気持ち・・・。



噂に興味なんてなかったし、それが単なる噂であることだって

江藤の様子を見てれば明らかにわかっていた。

それが筒井の一方通行な気持ちだってことも。

俺には関係のないことだったし、

筒井と江藤がどうなろうと知ったことじゃなかった。



だから筒井を応援するなんて気持ちもなかったし、

ここに来たのもただ単にほっておけなかっただけで・・・。

ただ、なぜほっとけなかったのかはわからない。



ほっとけなかったのは・・・



筒井だったのか・・・


それとも


江藤だったのか・・・






ただ、筒井の気持ちが何となく身にしみて

気づいた時にはそんな言葉を発していた。

しかし、そんなことを口にしたことで俺はそのすぐ後で後悔した。



江藤の泣き顔と切実な訴えを目にしたとたんに。。。、



泣いている目の前の女を、慰める術も、泣き止ませる術も、

俺は何一つ持ち合わせていなかった。

抱き寄せようと一瞬差し出した腕は、江藤に届くことはなかった。


胸が軋む。

鼓動が速まる。

脈が激しく打つ。




どうしていいのかわからなかったのだ。




筒井の気持ちを援護しようとした自分も、

その後、江藤の気持ちを目の当たりにして

すぐにその気持ちを翻しそうになった自分も、

その目の前の江藤を、眠っているとはいえ当の筒井のすぐそばで、

掻き抱きたい衝動に襲われている自分も。



結局俺は、精一杯の理性と自分のウリの冷静さを取り戻して

江藤に背を向けた。

後ろ髪を引かれる思いって・・・こういうことを言うのかななんて

心に感じながら。。。



なんとなく慰めになればと、ハンカチ代わりに差し出したカーテンは、

またもや俺の意表をついて、江藤を慰めるどころか、大いに笑わせてしまうぐらいの

威力があったようで

その場の(俺にとっては)深刻なその状況は打破されたわけだが、

俺の心に江藤から落とされた爆弾にも似た衝撃は

まだかろうじて爆発はされていなかったが、

ずっとその後もくすぶり続けていたのだった。




<END>


+あとがき+

俊語りでした。
何が「不慮の事故」かっていうと筒井くんの転倒デス
わかりづらいデスネ。
前にもお話したことがありますが
この一連の俊の心の中はkauにはよくわかりません。
どういう思いで筒井くんの歌を聴いていたのか
どういう思いで筒井くんをすすめたのか
どうして腕を引っ込めたのか

謎なヤツです(笑)



拍手[11回]

PR

この記事にコメントする

お名前
タイトル
メール
URL
コメント
絵文字
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード